岩倉圭二氏は幅広いジャンルのフィギュア原型を手がける人気原型師のひとり。
岩倉氏の持つ抜群のセンスと地道な手作業の積み重ねで生み出される原型は、
多くのフィギュアファンをうならせる。
今回は、FIGURE SPIRITS KUJI用に制作した
「キン肉マン 悪魔将軍フィギュア」の造形について語っていただいた。
岩倉氏の
制作スタイルを決定づけた、
原型師を目指したきっかけ
原型師として心がけていることは「絶対に手を抜かない」ことです。
私は九州造形短期大学(現:九州産業大学造形短期大学へ統合)に通っていましたが、在学中は原型師に関係することは何もしていません。
ですが、卒業後に友人宅でフィギュアに一目ぼれして以来、買ったり作ったり、フィギュア一直線ですね(笑)
そこまで惚れ込んだ理由は、フィギュアを見ると「これほど凄い造形はどうやって作り上げるのだろう」とドキドキしたからです。
だから、私の作ったフィギュアを見てファンが同じことを思ってくれたら嬉しいと思い、絶対に手を抜かないでフィギュアの原型を制作しています。
キン肉マンに夢中だった
子ども時代と悪魔将軍の思い出
「キン肉マン」との出会いは当時流行した「キン肉マン消しゴム(通称:キン消し)」ですね。
毎日駄菓子屋さんに通い、お菓子も買わずにガシャポンを回していました。もしかすると、私が造形を好きになった原点はそこなのかもしれません。
また、キン消しを集めるだけでなく、キン肉マンの絵も描いて遊んでいました。
今回、制作させていただいた「悪魔将軍」も何度も描いています。
特に好きなのが「神威の断頭台」という技ですね。悪魔将軍は「怖いけど格好いい」という思いが、私がダークヒーローを好きになったきっかけです。
悪魔将軍のポーズを
「素立ち」にすることで
魅せる造形ができた
フィギュアのポーズというと、「技」を出しているシーンを切り取ることもありますが、今回はあえて「素立ち」を選びました。
素立ちにする事で構えすら必要としない超人の頂点に君臨する存在感を表現したいと思いました。
そういった意味でも素立ちというのは、原型師としては凄く魅力的で、作っていて楽しいポーズです。
魅力はほかにも、風になびくような髪とマントがあります。
悪魔将軍の金髪をどれくらいのサイズで束ねたら格好いいかとか、どんな風にマントをなびかせたら格好いいかとか、作っていて最高にテンションが上がりました。
自分でも納得できる立ちポーズに仕上がりましたので、魅せる造形ができたと思います。
ファンの方に喜んでいただけたら嬉しいですね。
彩色を施すことで
岩倉氏の悪魔将軍が
さらにグレードアップ
私は原型を作るだけで色までは指定しません。ですから、彩色されたサンプルを見るのがとても楽しみです。
今回の悪魔将軍は、3つのカラーバリエーションがあるのですが、シルバーバージョンのボディに付けた陰影には感動しました。
また、肩に付いているリング状のアーマーを銀一色にせず、縁に陰を入れて立体感を高めてくれているのも嬉しいです。
ほかにも、手足の甲冑部分が漆塗りの赤を思わせる鮮やかさで、驚くほど格好いいです。
もう、銀と赤がお互いを引き立たさせていて最高ですね。
ダイヤモンドパワーver.も、原型は粘土で作るために透明感を出せないので、自分自身が作ったフィギュアなのに、新鮮な驚きと嬉しさがあります。
頭部の付け替えで
「ゴールドマン」になる
ファン感涙の仕様
ご存じのように悪魔将軍の正体は「ゴールドマン」と呼ばれる伝説の超人です。
そこで、ファンの皆さんに喜んでいただけるよう、頭部のオプションとして「黄金のマスク」を用意し、付け替えることで悪魔将軍をゴールドマンにできる仕様で制作しました。
ですが、この付け替えは頭の縦横比が違ったため、簡単には実現できず、髪の毛の長さなどの調整に悩みました。
完成品は違和感のないサイズになっていますので、ファンの皆様に楽しんでいただければ幸いです。
悪魔将軍ファンの
皆様へのメッセージ
今回の悪魔将軍はFIGURE SPIRITS KUJI用の商品で、約25cmほどの大きさがあります。
ですから、先ほど紹介した髪の毛やマントだけでなく、筋肉などの造形もかなり細かく作り込んだモデルとなっています。
本当に作ることが楽しくて、やりたいことを全部詰め込みましたので、手に取って遊んでいただけたら原型師として嬉しいです。
岩倉様、まことにありがとうございました!